?白毛馬ソダシの祖先って白毛？白毛一族を追ってみました

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白毛馬ソダシの祖先って白毛？白毛一族を追ってみました

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【はじめに】

皆さんは、白毛の馬にどんなイメージをお持ちでしょうか？
白馬の王子様を始めとするファンタジーやメルヘンチックな世界観、また競馬アニメでお馴染みのミドリのマキバオーなどを思い浮かべる方が多いかと思います。

しかし、それはあくまでも空想の世界。
現実世界において白馬を見ることや走ることは、とても珍しい光景だと思います。

それは競馬の世界でも同じことで白毛の馬が走ること（生まれてくること）すら珍しいです。
では、どれくらい珍しいかと言いますと、白毛の生まれてくる確率は、０．０４％と言われています。

また、別の数字で見ると１万?２万頭に１頭の確率とも言われています。
ただでさえ、生まれてくるだけで奇跡、無事に競走馬となったとしても勝てるかどうかも分からない。

そんな中、２０２１年に白毛馬として世界初となるクラシックＧ１を初勝利したソダシという牝馬をご存知でしょうか？
馬名の由来は、サンスクリット語で「純粋」や「輝き」だそうです。

今回は、その純白な身体で純粋に一生懸命走るソダシの祖先を追ってみました。
白毛はどのようにして、生まれたのか。

是非とも白毛一族の血統と夢と浪漫を一緒に堪能してみてください。

【１】突然変異？

ソダシは突然変異で白毛に生まれた訳ではありません。
実は、母のブチコも白毛（鹿毛斑混じり）であり、その母であるシラユキヒメから白毛が始まりました。

では、祖母のシラユキヒメとは、どんな競走馬だったのでしょうか？
シラユキヒメは、１９９６年４月に父サンデーサイレンス（青鹿毛）、母ウエイブウインド（鹿毛、母の父はトップサイダー）の初仔として誕生しました。

突然変異で白毛として生まれたシラユキヒメは、約１５００もの産駒を誕生させた父サンデーサイレンスとしても唯一の白毛馬の仔となります。
突然変異のため、その後ウエイブウインドから生まれた仔に白毛は存在しません。

なお、白毛の定義としては、肌がピンク色かどうかで判断されます。
同じように白っぽい毛の芦毛馬もいますが、肌が黒いため白毛とは認識されません。

要するに白毛か芦毛の判断は肌の色ということになります。
さて、そんな白毛として生まれたシラユキヒメですが当然、話題一色となりました。

ところが、ＪＲＡで９戦するも残念ながら勝ち星を上げることが出来ませんでした。
白毛馬は客寄せパンダ的存在で馬券対象にはならない。

そんな白毛馬に対し、世間の目は厳しいものでした。
しかし、サンデーサイレンスの血が入っている白毛となれば、実績度外視で直ぐに繁殖牝馬として上げられました。

なお、既に白毛の染色体遺伝子を持つシラユキヒメから白毛の仔が生まれてくる確率は、メンデルの法則で５０％だそうです。
因みに、この時点でＪＲＡでの白毛馬が勝利したレースはありません。

ここは、シラユキヒメに沢山の仔を産んでもらい

「白毛馬によるＪＲＡ初勝利を」

と生産者側は思ったに違いありません。
白毛の始祖となるシラユキヒメは、仔たちがＪＲＡで初勝利を上げるため繁殖牝馬として第２の人生をスタートすることになるのです。

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【２】白毛を継承するシラユキヒメの仔たち

シラユキヒメは、２００２年から繁殖牝馬として、２０１９年５月に亡くなるまで１２頭の仔を生みました。
そのうち、白毛として誕生したのは、１０頭です。

先述のメンデルの法則によると毛色が遺伝する確率は５０％と言われている中、シラユキヒメは８０％超という確率で白毛の仔を出しました。
これこそ、白毛の始祖として一族を繁栄させるとの執念を感じられます。

その中で第２仔として生まれたホワイトベッセル（牡馬、父クロフネ）が白毛馬として、早くも念願のＪＲＡで初勝利を上げました。
現在は、誘導馬として活躍中です。

続いて第３仔のユキチャン（牝馬、父クロフネ）がＪＲＡで未勝利戦、５００万下クラスと２勝、地方重賞Ｇ２関東オークスを始め３勝を上げました。
白毛馬の血が少しずつ世間を見返す形となっていきます。

しかし、マシュマロ（第６仔、父クロフネ）、ブラマンジェ（第７仔、父クロフネ）、マーブルケーキ（第８仔、父キングカメハメハ）の３頭の牝馬はユキチャンを越える結果を出すことが出来ないまま、繁殖入りしました。

そして、第９仔として生まれたブチコ（父キングカメハメハ）は、白毛ながら鹿毛の斑が胴体に見られた更に珍しい毛色（イメージは犬のダルメシアンのような）だったため、ブチコと名付けられたそうです。

そのブチコは、ＪＲＡで４勝するものの重賞には手が届きませんでした。
だが、このブチコこそ、白毛一族執念の結晶とも言うべき、ソダシの母馬となるのです。

【３】純白で純粋そして輝き

ソダシは、母ブチコ（父クロフネ）祖母シラユキヒメ、祖父キングカメハメハ、祖母父サンデーサイレンスという血統です。
血統だけを見れば、現在の日本競馬界を代表する血のオンパレードです。

そのソダシが白毛馬一族の希望を一心に背負い走り出しました。
２０２０年にデビューし、４連勝にて２歳牝馬女王に輝きました。

白毛馬として日本のＧ１制覇は初の快挙となりました。
そして、翌年迎えた牝馬クラシック第１弾の桜花賞。

阪神競馬場ゴール前の直線、白毛馬だから特に目立つのでしょうか。
一生懸命走る、真っ直ぐにゴールを目指す純粋な瞳に誰もが心を奪われたに違いありません。

『ソダシか、外から一気にサトノレイナス！ソダシだ、白い桜が咲き誇りました！』

実況アナの叫んだ言葉が、純白で純粋な瞳にピッタリ合うフレーズで感動的なゴールシーンでした。
こうして、見事にソダシは世界初となる牝馬クラシックを制覇しました。

１９９６年シラユキヒメの誕生から白毛馬が話題となり、実に四半世紀の歳月を経て白毛馬が頂点に立った瞬間でした。

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【４】受け継がれる白毛伝説

現在、ソダシの親戚として主な白毛馬の現役競走馬を紹介します。
まずは、シラユキヒメの１０番目の仔でありますシロニイ（牡馬、父キングカメハメハ）です。

結果は別として、２０２１年のＧ１天皇賞春にも出走しました。
まだまだ、長距離戦線で活躍するオープン馬です。

次にシラユキヒメ最後の仔となりましたブッチーニ（牝馬、父キングカメハメハ）は、姉のブチコと同じく白毛に鹿毛斑があります。
先日、５００万下クラスのレースに勝利しました。

２頭ともソダシの叔父馬、叔母馬に当たりますね。
これからもソダシとともに白毛馬として、さらなる活躍を期待したいところです。

では、もう１頭をご紹介します。
シラユキヒメの第６仔でありますマシュマロの初仔となるハヤヤッコ（牡馬、父キングカメハメハ）が、２０１９年の国際指定となっているＧ３レパードステークスを１０番人気ながら勝利しました。

ソダシの従兄弟に当たり、これからも更なる活躍が期待出来る１頭です。

【さいごに】

如何でしたでしょうか？
白毛は他馬と比べて目立つ故、注目になることが１つの宿命かも知れません。

しかし、よく考えてみてください。
日本では、毎年７?８０００頭余りの競走馬が誕生します。

ＪＲＡでは、年間約３０００レースの開催しかありません。
ＪＲＡのレースに勝てる馬は、ほんのひと握りなのです。

その中で白毛に生まれたため、注目され勝てなければ弱いなどと言われてしまう。
しかし、そうではありません。

まず、競走馬として無事に迎えられるかが最初の課題となるくらい、生産者の方々は、日々馬を大切に育てています。
当たり前の話ですが、人間には１人１人に人生というドラマがあるように、競走馬にも１頭１頭それぞれのドラマがあります。

競走馬として迎える前に病気や事故・怪我で亡くなってしまう場合もあります。
それくらい競走馬に育てるのは、難しいことなのです。

また、無事に競走馬になっても次に待ち受けるのは勝負の世界です。
いくら良血と呼ばれても、そう簡単に勝てるものではありません。

白毛として生まれた馬が活躍出来る可能性など皆無に等しいです。
その中で白毛馬ソダシが活躍した確率は、奇跡に近いものだと認識して頂きたいと思います。

今後、１人でも多くの方が純粋な瞳で一生懸命走る彼女を応援して頂ければ幸いです。

ご購読ありがとうございました。

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